Archive for the ‘税制改正’ Category

消費税のインボイス制度をわかりやすく Ⅱ

2022-08-26

相手が適格発行事業者かどうか不明な時

商品やサービスを購入するため支払った請求書や領収書に令和5年10月から登録番号が記載されます。

もしこの登録番号が本当かどうかは「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」から確認することができます。

適格簡易請求書とは

適格請求書には今までの請求書(区分記載請求書)の他に①インボイスの登録番号、②税率毎に区分して合計した金額及びその税率、③税率ごとに区分した消費税、この3つが必要です。②の例として「8%対象40,000円、10%80,000円」と記載します。このときの合計した金額は税抜きでも税込みでも構いません。③の記載例として「8%3,200円 10%8,000円」と記載します。

適格簡易請求書は今までの請求書(区分記載請求書)の他に①インボイスの登録番号、②税率又は税率毎に区分した消費税、この2つが必要です。②の記載例として「8%324円 10%550円」又は「324円内消費税額24円 550円内消費税額50円」のどちらかを記載します。

適格簡易請求書を発行出来る場合は不特定かつ多数のものに販売する場合です。いわゆるBtoCの場合です。それに対し通常の適格請求書はBtoBの場合です。適格簡易請求書を発行する事業としては、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場(不特定かつ多数)等です。

適格請求書を渡さなくてもいい取引

①3万円未満の船舶、バス、鉄道等

②3万円未満の自動販売機等での販売

③郵便切手類での郵便、貨物サービス

④卸売市場を通じた生鮮食品等の委託販売等

⑤農協等を通じた農林水産物の委託販売等

帳簿のみの保存でOKな場合

①適格請求書を渡さなくてもいい取引の3万円未満の船舶、バス、鉄道等

②適格請求書を渡さなくてもいい取引の3万円未満の自動販売機等での販売

③適格請求書を渡さなくてもいい取引の郵便切手類での郵便、貨物サービス

④入場券等が使用の際に回収される取引(①を除く)

⑤従業員等の出張旅費日当等

⑥古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入→例:古物営業の許可を受けた事業者が消費者から中古車を購入した場合※1万円以上の場合は古物台帳が必要

⑦質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物の取得→例:質屋営業法に規定する質屋営業を営む質屋が消費者から質物を購入する

⑧宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物の購入→例:宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引業者が消費者から同法に規定する建物を購入する場合

⑨適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品の購入→例:再生資源卸売業その他不特定かつ多数の者から資源の有効な利用の促進に関する法律に規定する再生資源及び再生部品を購入する事業を営む事業者が消費者(事業者でないものから)から再生資源及び再生部品を購入する場合

帳簿のみの保存でOKな場合の帳簿の記載事項

・帳簿のみの保存でOKの場合の仕入れに該当する旨

適用に①~③の場合なら「3万円未満の鉄道料金等」、④の場合なら「入場券等」、⑤の場合なら「出張旅費等」

・仕入れの相手方の住所又は所在地

①③⑤は不要、⑥~⑨の場合の仕入れの相手方の住所又は所在地が不要

給与が増加した場合の特別控除(所得拡大促進税制)

2022-04-11

制度の簡単な説明

前期と比べて給与等が増加した場合、増えた金額の15%を法人税又は所得税から引くことが出来ます。また条件に一致した場合(上乗せ措置)、増えた金額の25%を法人税又は所得税から引くことが出来ます。

法人の場合は令和3年4月1日から令和4年3月31日までに開始する事業年度、個人の場合は令和4年になります。

前期と比べて給与等が増加した場合とは

雇用者給与等支給額が前の年に比べ1.5%以上増加した場合です。雇用者給与等支給額とは全ての国内雇用者の給与等の支給額を言います。給与に充てるため他から金額を受けた場合は引きます。但し雇用安定助成金額(雇用調整助成金、産業雇用安定助成金、緊急雇用安定助成金等)は引きません。それと退職金は含めません。国内雇用者とは、使用人兼務役員を含む役員及び役員の特殊関係者、個人事業主と特殊の関係のある者以外のすべての使用人です。

たとえば令和4年度の雇用者給与等支給額が5200万円、令和3年度の5000万円なら(5200万円-5000万円)÷5000万円=4%>1.5%なので要件を満たします。

「増えた金額の15%を法人税又は所得税から引く」の増えた金額とは

増えた金額とは?これは今年度の又は、今年の雇用者給与等支給額から前年度又は前年の雇用者給与等支給額を引いた金額をいいます。但し調整雇用者給与等支給増加額を限度とします。調整雇用者給与等支給額とは今年度の又は、今年の雇用安定助成金額を引いた「雇用者給与等支給額」から前年度又は、前年の雇用安定助成金額を引いた「雇用者給与等支給額」を引いた金額です。

たとえば令和4年度の雇用者給与等支給額が5700万円雇用安定助成金額が300万円、令和3年度の5200万円雇用安定助成金額が200万円とすると①5700万円-5200万円=500万円 ②5400万円-5000万円=400万円 ②が調整雇用者給与等支給増加額です。これを限度とするので400万円×15%が法人税又は所得税から引くことが可能です。

上乗せ措置とは

条件が2つあります。1つ目の要件として雇用者給与等支給額が2.5%以上増加していることです。2つ目の要件はどちらかで大丈夫です。①教育訓練費が10%以上増加していること、②経営力向上計画の認定を受け、証明されていること。①か②のどちらかを満たしていれば大丈夫です。雇用者給与等支給額が2.5%以上増加し、①か②のどちらかを満たしていれば、増えた金額の25%を法人税又は所得税から引くことが出来ます。

教育訓練費とは

国内雇用者に対し、教育研修のために外部講師、外部施設使用料、研修委託、外部研修参加費の費用を言います。旅費、宿泊費、食費等は含まれません。但し外部講師の旅費、宿泊費は含みます。

住宅の購入を親からもらった(贈与)時、支援してもらった時

2022-03-17

お客様から息子、娘が家を買うのでお金を渡したい

打合せしていると、「お客様から息子(娘)が家を建てるんやけど、支援したい、お金を渡したい、その場合贈与税とかどうなりますか?」と聞かれることがよくあります。その場合、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」を説明します。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

父親や母親、おじいちゃん、おばあちゃん(直系尊属)から住宅を購入するためのお金をもらった(贈与を受けた)場合、贈与税が非課税になるときがあります。普通にお金を渡した場合110万を超えるなら贈与税は発生します。住宅資金については一定の場合贈与税が発生しません。

もらう人(息子、娘)の要件

1.直系損族であること

※直系尊属とは、父母・祖父母等の自分より前の世代の親族です。また、養父母も含まれます。叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。具体的には、自分の両親、祖父母、またはその先祖となります。

2.お金をもらった年の1月1日において20歳以上であること(令和4年4月1日以降は18歳に引き下げ)

3.息子、娘の合計所得金額は2000万以上(例外があります)

4.お金をもらった年の3月15日までに家を購入し住んでいること

5.家を購入したのは第3者であること(国税庁HPで確認してください)

その他の要件もあります。念のため国税庁のHP等で確認してください。

住宅の要件

1.家の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、床面積の半分以上が息子や娘の住み家であること

2.中古の家の場合は築年数20年以内のもの(耐火建築物の場合は25年)

3.中古の家で築年数20年超の場合、一定の場合はOK(国税庁のHPで確認してください)

4.家をリフォーム(増改築)した場合

 ①家の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、床面積の半分以上が息子や娘の住み家であること

 ②「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。

 ③リフォーム(増改築)の費用が100万円以上であること。ただし、賃貸用事業用部分と一緒にリフォームした場合、リフォームの費用の1/2以上が、自分の住み家のリフォームであること

いくらまで贈与税がかからないか?(令和4年4月1日以降)

一般住宅の場合は500万円まで、省エネ等の住宅の場合は1000万円までお金を渡しても贈与税がかかりません。

その他

1.これを受けるためには一定の書類を提出し贈与税の申告書を提出する必要がります。

2.一定の書類とは

戸籍謄本(直系尊属の関係がわかるもの)、源泉徴収票、家屋や敷地の登記事項証明書、売買契約書の写し等

3.自分の息子や娘に親の住んでる家土地を上げたい、親の持っている土地や家を上げたい場合は相続まで待つか、相続時精算課税制度を使うかどちらかになります。

令和4年住宅ローン控除改正

2022-03-15

令和4年度税制改正が公表されまして令和4年1月14日現在の情報ですが、令和4年から住宅ローン控除の延長や見直しがありました。

所得制限の見直し

まずは所得制限を3000万円以下から2000万円以下に変更となりました。

給与収入の方は所得と額面は違います。額面から給与所得控除額を引いた金額が所得になります。

額面2,100万円あったとしても給与所得控除額(2000万の場合は195万円)を引いた2,100万円-195万円=1,905万円が所得となります。住宅ローン控除は適用できます。額面2,200万円なら給与所得控除額195万円を引いた2,005万円が所得金額となり住宅ローン控除は適用できません。額面が2,195万円以下の方が住宅ローン控除を適用できます。

既存住宅の見直し

今まで新築ではない中古である既存住宅では築年数要件というものがありました。その家が建てられてから20年以下の家だけが対象でした。それが廃止になりました。但し新耐震基準に適合しているかが要件になりました。中古物件なら新耐震基準に適合されているなら築年数関係なく控除が受けられます。中古の家を購入する時は新耐震基準を満たしているかを確認する必要があります。その証明する書類としては、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書です。詳しくは国税庁のHPを確認してください。

借入限度額の見直し

借入限度額も見直しがありました。新築の一般住宅の場合で令和4年、5年に家を購入し住んだなら借入限度額は3000万円です。具体的に説明しますと、令和4年に購入し令和4年12月31日現在住宅ローンの年末残高が3500万円あったとします。住宅ローン控除の計算は控除率(0.7%)×住宅ローンの年末残高です。この場合3500万円×0.7%ではなく、借入限度額は3000万円なので、3000万円×0.7%=21万円になります。

新築の一般住宅の場合で令和6年、令和7年に家を購入し住んだならこの借入限度額は2000万円になります。中古の家の一般住宅の場合の借入限度額は2000万円になります。

控除期間について

新築の家を購入した場合、控除期間は13年になります。これは住宅ローン控除ができる期間が13年間です。ただし中古の家を購入した場合は10年になります。新築の家でも令和6年、令和7年に建てた一般住宅の場合は10年になります。

個人住民税の住宅借入金等特別税額控除の引き下げ

年末調整や確定申告をして1年分の所得税より住宅ローン控除が大きい場合、例えば1年分の所得税が10万円、住宅ローン控除が15万円とすると5万円を引ききれません。損をします。この5万円は住民税から引いてました。この住民税から引く金額が最大でも9.75万円になりました。

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